時計屋の思い出と腕時計職人への憧れ

初めて時計屋に腕時計の修理をお願いしに行った時の事を今でも覚えています。よくある事ですが、腕時計のベルト部分が大きくて困っていたので、一つ金具を外してもらいに行ったのです。腕時計のベルトを調節できる事を知りませんでしたし、その時計屋で買った腕時計ではなかったので、緊張していました。

行ったのは近所にあるのに一度も入った事がない、時計屋でした。壁一面に時計がかけられ、所狭しと腕時計が並べられ、秒針と時針の動く音で店内はいっぱいでした。人間が入り込む隙間がないような不思議な場所に思えました。

店員がうまく見つけれず、「すみません」と何度か声を出してみると、ようやく奥の小部屋からいかにも職人といった風貌の男性が出てきました。専門性のある雰囲気のある人を間近に見たことがなかったので、大事な仕事の邪魔をしてしまったのではないか、と思い意味もなくおどおどしてしまいました。緊張しながら腕時計のベルトの調節をしてほしい、と何とか口にすると、時計職人は時計と私の手首をみて「二つ外した方がいいかな」と言いました。

その場にあった小さなテーブルのようなところで腕時計の金具はあっという間に外され、着けてみると、二つでは小さい事がわかり、結局一つ外してもらいました。

料金は500円だったと記憶しています。そのお店にはそれ以来行く事がないまま引っ越しをしたのですが、手首を見ただけでどのくらいの調節が必要かすぐに判断し、私が手首周りに少し余裕のある腕時計の方が使いやすいタイプの人間である事も察知し、ささっと仕事をする姿に驚いた事、時計に囲まれた空間の印象はよく覚えています。

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